トーマス・シェリング 経済学研究会 【ポール・クルーグマン(2008年ノーベル経済学賞受賞者)のシェリング評】 経済学的な自己組織化の研究などで知られる(2008年ノーベル経済学賞受賞者)ポール・クルーグマンのシェリング評価ですが、これについては、彼の著書“Self-Organizing Economy”にも記述があります。 p.15 “What do we look for in an economic model ― or to put it differently, what constitutes an “explanation” from the point of view of economists? I do not think you can sum it up better than Thomas Schelling did in the title of his book, Micromotives and Macrobehavior.” 「私達が経済学的原理に求めるもの(別な言葉でいえば、経済学者の視点からの説明を構成するもの)は何でしょうか。 私には、誰かがトーマス・シェリングが御本人の著書“Micromotives and Macrobehavior”で示したものより良く纏めるというのは考えられません。」 クルーグマンは、シェリング教授の信奉者として有名ですので、彼の著書でシェリング教授の業績を称える部分は多いのですが、クルーグマンは「シェリング教授の業績で最も優れたものは“Micromotives and Macrobehavior”だ」という主張を繰り返し訴えていますが、これはクルーグマンが専門とする分野についての業績が正しく“Micromotives and Macrobehavior”の扱っている分野であるという事を踏まえる必要があります。正直な所、シェリングの研究分野は多岐に渡り過ぎ、幾多の分野で無視できない業績を挙げています。例えば、経済学に於ける地球温暖化問題研究の草分けもシェリングです。 自己組織化などの研究分野を専門とする人達に取っては“Micromotives and Macrobehavior”は最高のものかも知れませが、シェリングの業績は本当に多くの分野に及んでおり、発表当初はあまりにも先駆的過ぎて価値を見出されず、後に政策などで実証されて評価された様なものが沢山あります。この点は注意すべきだと思います。 (2019.2.2 掲載 中村寿徳) 発起人: 中村寿徳 (Schelling’s Twitter follower) |