日本
トーマス・シェリング
経済学研究会







リチャード・セイラー(2017年ノーベル経済学賞受賞)のシェリング評


 リチャード・セイラーのノーベル経済学賞受賞は、彼の専門分野、行動経済学が将来の発展が期待され注目されている分野である事もあり多くのメディアで取り上げられました。
 1例として東洋経済新報社の東洋経済オンラインから引用します。


(出典:東洋経済オンライン https://toyokeizai.net

「2017年のノーベル経済学賞(正式名称はノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞)は、米シカゴ大のリチャード・セイラー(Richard H. Thaler)教授の受賞となった。セイラーは行動経済学の権威で、経済学の意思決定の分析に心理学に基づく現実的な仮定を組み込んだことで知られる」


 さて、このリチャード・セイラー氏ですが、トーマス・シェリングから大きな影響を受けていますし、著書の中でシェリングを「現在、私達が行動経済学と呼んでいるものの草創期における援助者であり貢献者」と評価しています。

“Misbehaving: The Making of Behavioral Economics” (Richard H. Thaler, W W Norton & Co Inc; Reprint, 2016) p.12 より引用します。
“Conceptually, the proper way to think about this question was captured by economist Thomas Schelling in his wonderful essay “The Life You Save May Be Your Own.” Many times over the years my interests would intersect with Schelling’s, an early supporter and contributer to what we now call behavioral economics.”

(この問題について概念的に考える適切な方法は、経済学者のトーマス・シェリングが、彼の注目すべき論文「君が救う命が自分自身のものである可能性」に収めていました。以降、何年もの間、幾度となく私の関心はシェリング教授のそれと交わる事になりますが、教授は、私達が今、行動経済学と呼んでいるものに対する草創期に於ける援助者であり貢献者でもありました。)

 私もセイラーが言う様に、シェリングの行動経済学への貢献は多大なものだとおもます。それどころかシェリングが「一般均衡」や「等価交換」、「ナッシュ均衡」などの旧来の考え方を脱却させる試みに成功していなければ行動経済学は成立しなかっただろうと言っても過言ではないと思います。



(2020.1.30 掲載 中村寿徳)



発起人: 中村寿徳 (Schelling’s Twitter follower)





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